田島木綿子「海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること」


クジラの解剖学者の本。研究者の話はおもしろい。

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海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること


著者:田島木綿子

出版社: 山と渓谷社


概要


多くのクジラを解剖してきた研究者の海の哺乳類の生態を紹介した本。


学び


国立科学博物館には、海の哺乳類の標本が150種、8000個体があるそう。すごい。一度、見に行きたい。

「1種類の動物のある特徴を知るには、最低30体は研究や調査に供する必要がある」と書いている。30体を集めるのにどれくらいの時間、研究費がかかるのだろう。想像もできない。

コラムの「科学博物館の特別展ができるまで」がおもしろかった。特別展の時に行ってみたい。特別展が開催されるまで、された後のことを読むと、余計、時間をかけて作られたんだなって思う。

クジラの標本の作り方の工程もおもしろかった。普通に生きてるとこういうのを知る機会ってないから、この本を読んで知ることができたのがよかった。

クジラだけではなく、イルカ、スナメリ、ユメゴンドウ、アザラシ、セイウチ、ラッコ、ステラー海牛など様々な海獣についての生態やストーリーが書かれていて、名前くらいしか知らなかったけど、それぞれ奥深い動物であることがわかる。


印象に残った内容


「国立の研究機関が掲げる主な使命は、「標本収集」「研究」「教育普及」」と挙げていた。その中でも先ずは標本収集が大切なのが、田島さんがこの本を通して伝えようとしているのがわかる。

クジラの赤ちゃんの胃から見つかったプラスチックの写真。これが直接的な死因ではなかったらしいが、結構インパクトの強い写真だった。環境問題の一つに海洋のマイクロプラスチックがあるが、こういう事例がだんだんと増えてくるんだろうな。

この本で一番印象に残った内容は、ストランディングについて書かれていることで、年間件数は想像していたよりもかなり数が多いのを知った。2023年1月に大阪湾にストランディングしたクジラを思い出したけど、メディアで取り上げられないだけで、1年間でかなりの多くあるってことを知った。海外の事例もあったので、興味深い内容だった。

絶滅危惧されているのは動物だけじゃなく、解剖学者もそうだと知る。研究者がもっと活躍しやすい世の中になるといいな。


最後に


一般人からしたら必要かどうかわからない学術的な知識も、人類、動物を知るためには必要な研究がたくさんある。


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